ちょっとだけハイキングでイタリア国境方向に登ってみました。切り立つ岩山の向こう側がイタリアなのでしょう。2500m級の山々はそう簡単に越えられません、ここでは言語の境界も自然の境界によって限定されているのが良く分かります。アルプスの尾根に沿ったこの国境をここから東に60kmほど行ったところで、ゲルマン語ロマンス語の言語境界線は終わります。ドイツ語圏はいま少し続きますが、一方のロマンス語使用地域は終わり、国で言うとスロベニアですがスラブ語使用地域に入って行くからです。
スラブ語とは、ロシア語・ポーランド語・チェコ語・ブルガリア語・セルボクロアチア語等々の旧東欧圏の言葉です。 現在紛争中のロシアとウクライナの2国も、東スラブ語族の中でロシア語とウクライナ語という比較的近い言語を持っています。ということでこの旅のメインテーマのゲルマン語ロマンス語言語境界線は終わりますが、ゲルマン語スラブ語の境界線が始まります。ぜひ次回の旅は「ゲルマン語スラブ語言語境界の旅」というのをやってみたいです。
そしてロマンス語とスラブ語の言語境界線というのも距離的に長くはないけれども存在します。写真は今回の旅とは直接関係ないのですが、去年訪ねたスロベニアのピランという港町です。ヴェネチア共和国に支配された時代はロマンス語系、オーストリーハンガリー二重帝国時代にはゲルマン語系、ユーゴスラビア時代から今日まではスラブ語系と言語的にも複雑な歴史を持っています。そしてこの町を守る城壁がロマンス語スラブ語の言語境界線だったことがあるのです。
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