2014年8月23日土曜日

スイス語

ベルギー語が存在しないように、スイス語も存在しないのですが、スイスの言語についても色々とややこしいことがあります。公用語は4つと書きましたが、レトロマン語(ロマンシュ語)は地域限定の公用語という地位のようです。
スイスにおけるドイツ語は、スイスドイツ語と呼ばれるアレマン方言の一種ですが、ドイツに住む標準ドイツ語使用者には分かりにくいので有名です。ドイツのテレビでスイスドイツ語が使われた場合には、字幕が表示されていました。一方で標準ドイツ語も学校で教えられているし、マスコミも含め観光客が耳にする目にするものの多くは、スイスドイツ語でなく標準ドイツ語です。たぶんスイスは長年の歴史的経緯から、ナチスのような汎ドイツ主義には反対なのですが、経済や文化におけるドイツとの関係は重要だという志向が、スイスドイツ語を標準ドイツ語と付かず離れずの位置を維持させる政策となっているのでしょう。この点で、先に書いたルクセンブルグとは対照的です。写真はドイツ語圏からレトロマン語使用地域に入っていく言語境界、標高2044mのOberalppass付近です。

スイスにおけるフランス語は、本来はフランコプロバンス語と呼ばれる、オイル語(フランス語等)と
オック語(オクシタン諸語)の中間的言語です。ただ現在スイスで聞かれるのは、この言葉ではなくフランス語のスイスヴァージョンが中心だそうです。沖縄の本来の琉球語ではなく、現在使われているのは日本語の沖縄ヴァージョンだというのと似ている気がします。今回訪ねることはできませんでしたが、エヴォレーヌという南の方の山村では今もこのフランコプロバンス語が聞かれるそうです。


スイスにおけるイタリア語は、その西ロンバルディア方言を使っているそうです。標準イタリア語との差がどのくらいなのか、どのくらい使われているかなど、今から勉強します。写真はグラウビュンデン州とティチーノ州の州境で、ここから先の南側がイタリア語であることを示しています。




そしてその反対側を向くとそこはレトロマン語圏であることを示しています。スイスにおけるレトロマン語は、ロマンシュ語と言った方が正確でしよう。ということで、ここはイタリア語とロマンシュ語という2つのロマンス語の間の境界なのです。
続く・・・

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