2014年8月18日月曜日

ベルギー語

ベルギーで話されているのは、ベルギー語だと思っている人には関係ない話です。ベルギーの言語状況は非常にややこしく、全部は理解できませんが、まあ単純化すれば、「北側のフランドル地方はオランダ語(フラマン語)、南側のワロン地方はフランス語(ワロン語)で、東端には少数のドイツ語話者がいて、首都のブリュッセルは、オランダ語とフランス語のバイリンガル地域と指定されている」ということになります。でもフラマン語は方言差が激しく、西フラマン語はオランダ語ではないとか、ワロン語はフランス語の方言ではなく、フランス語同様にオイル語の一変種だとかいう主張も聞かれます。写真は西フラマン語を紹介した本。



ベルギーとフランスの国境には、川を挟んで
WervikとWervicq-sudという2つの町があります。川の両側に発展していた一つの町が300年前から政治的理由で川が国境線とされたために分裂国家ならぬ分裂町となりました。その後に川の南東側がフランス語化されたため、今日ではWervik(ベルギー側フラマン語表記)とWervicq-sud(フランス側は南という語をくっつけたフランス語表記)と書く別々の町となっています。

このように一つの町が、国境線によって2つに分裂した例はドイツ・チェコやイタリア・スロベニアにも存在しますが、今日ではEUのおかげで国境の意味が薄れ、町を再統一することも視野に入ってきているようです。ただここの様に言語が完全に置き換わってしまっている場合にはどの程度まで統一可能なのでしょうか・・・






 ベルギー内の通常の言語境界線(フラマン語とワロン語間)は、州境と重なっています。ということで線は目には見えませんが、このような標識で知ることができます。この位置から南がワロン語です。








反対側を向くとここからがフラマン語だと分かります。  言語境界線は、国勢調査のデータを使いベルギー国会によって1962年に定められましたが、現実にはそれによって言語問題が過激化することも多いようです。特にブリュセル郊外における言語問題は年々深刻化しています。





通常のベルギーの町は、フラマン語かワロン語のどちらかの言語しか使わないモノリンガルですが、10数ヶ所のバイリンガルの権利が認められた町では、役所の張り紙もこんな感じです。















ベルギー東部のドイツ語の使われている,St-Vith という町に初めて行ってみました。この写真のように警察polizeiという語はドイツ語だけですが、上のツーリストインフォメーションの看板には、国の3言語ドイツ語フランス語オランダ語が書かれています。カフェに行って見たら、ドイツ語しか聞こえてこなかったし、町並みも普通のドイツの田舎町のようでした。













 次の目的地に向かう途中にルクセンブルグを通りました。この国はもともとドイツ語の方言を使いながらも公文書や行政に使うのはフランス語という分裂した言語政策を採ってきました。現在では、そのドイツ語方言をルクセンブルグ語(レッツブルギッシュ)と呼び、学校教育では標準ドイツ語も平行して学んでいるようです。ただ目に見えるところに書かれているのは、標準ドイツ語とフランス語が圧倒的です。この写真は高速のドライブインの注意書きで、ここにはレッツブルギッシュはありません。


 ルクセンブルグはこのレッツブルギッシュを自分の国の言語としながらも、あまり積極的には使わない珍しい国です。アイルランドも理由は違うけど同じかな?車の中でルクセンブルグ語のラジオを聴きましたが、ドイツ語よりも柔らかく、フランス語の語彙への影響と、オランダ語っぽい発音が印象的でした。写真は子供のためのレッツブルギッシュの絵辞典。

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