2014年8月21日木曜日

三国境

フランス・ドイツ・スイス3国が交わる国境近くに来ました。ここは言語境界線よりは30kmくらいは東側に位置します。
レーラッハというドイツ側の町にある、三国博物館を訪ねました。先に述べたようにドイツとフランスは領土をめぐり戦争を繰り返してきたし、スイスは永世中立国であるがゆえに軍を整備し、国境線を固めてきました。そんな別々の文化と伝統を持つ三つの国が、今は平和的に協力して未来を築いていこうという、建設的展示がなされています。特別展では、第一次大戦時のこの地方のドイツの侵略と敗戦に伴う、住民の悲喜こもごもが描かれていました。

常設の展示の中に、言語に関する記述がありました。最初の部分で「ゲルマン語ロマンス語境界線がこの地方を通過しているけれども、アレマン語(方言)は3つの国に共通だ」と述べられています。それぞれ呼び方はアルザス語、スイスドイツ語、Badisch(Bade)と違ってはいるけれど、どれもアレマン語というわけです。歴史にif(もしも)は存在しないといいますが、もし国境などというものがなく、長く平和が続いていたら、ここは同じ言葉をしゃべり、同じ文化を共有する1地域だったことでしょう。国境を作るものは言葉の相違でも文化の相違でもなく宗教の相違でもなく、武力・権力・征服欲といったものなのですね。これって私たち島国の人間には、分かりにくい部分ではないでしょうか?







ドイツ語で Badischフランス語でBadeと呼ばれる言葉は、日本語ではバッド語(お風呂語)なのかな?この地方で話されている(どの程度かはわかりませんが)ドイツ語の方言あるいは変種アレマン語のその方言なのだそうです。写真左側がそのBadisch、右側はスイスドイツ語のミニ辞書です。

0 件のコメント:

コメントを投稿