2014年9月4日木曜日

スラブ語圏へ

前に書いたように、ゲルマン語ロマンス語境界はアルプスの山の中で、ゲルマン語スラブ語境界に変わります。

オーストリア・スロヴェニアとの国境に近い、イタリアのウインタースポーツで有名なトレヴィーゾの町を通りました。先日行ったのはドイツ・フランス・スイスの三国境でしたが、今回はこの三国です。写真は道路の表示でトレヴィーゾからの距離を示していて、オーストリアまで7kmスロヴェニアまで11kmです。












この町は第一次世界大戦まではドイツ語・スロヴェニア語の話者が多かったのですが、それ以降ずっとイタリア領なので、現在はほとんどイタリア語話者中心になっているようです。ここに来るまでは、ゲルマン語系(ドイツ語)ロマンス語系(イタリア語またはフリウリ語)スラブ語系(スロヴェニア語)が同時に聞かれる町をイメージしていたのですが、現実はイタリア語だけの使われている普通のイタリアの町でした。町の表示もほとんどイタリア語で、ツーリスト相手のカフェでやっと見つけたのが、下の2行がドイツ語のこの立て看板。そしてまたレトロマンス語系のフリウリ語についても、イタリア語に似ているので、ちゃんとは確認できなかったけれども何もなさそうでした。

トレヴィーゾから写真の国境をこえてスロヴェニアに入りました。すべての表示はスロヴェニア語に変わりました。スラブの世界に入りました。かつては東西ヨーロッパの境だった場所も、今では誰もいない何もない寂れた場所です。







国境近くでスロヴェニア語・ドイツ語・イタリア語で書かれた宣伝看板を見つけました。でもこれは例外中の例外で、それ以降は見かけた表示は、ほとんどスロヴェニア語オンリーでした。宿やレストランでは、巧みな英語が聞かれ、アルプスの向こうで使われているドイツ語への頓着は感じられません。確かに英語もゲルマン語ではあるのですが・・・





泊まっているzasipという村の宿からの景色ですが、左の方には雪をいただくアルプスの高い山々がそびえているのに、右のほうを見るとその山脈がだんだんと低くなっていくのが見えます。アルプスを東に進む中で先にロマンス語がなくなり、ゲルマン語もアルプス山脈とともに消えてゆくのだなあと思いました。





写真はスロヴェニア語←→英語の絵辞典です。その中のパン屋のページを見ると、フランス語起源のクロワッサンのことをrogljic(最後のcの上にはvの小さいのがつきます)なのに、filled rollのことはsendvic(サンドウィッチ?)と言うようです。フランス語だと言い換えるのに、英語だと積極的に受け入れているのでしょうか?


















0 件のコメント:

コメントを投稿