長かったゲルマン語とロマンス語の境界線をめぐる旅も終わりに近づきました。
昨日今日とイタリアを大きく横断してフランスまで戻ってきました。写真は宿泊したイタリアはクレモナの町。イタリア語ロンバルディア方言の地ということで、そういった本を探したけれどなかった!
ゲルマン語の世界で私のようなよそ者には、だいたい英語が使われます。そしてスラブ語圏でも、古いガイドブックにはロシア語の次にドイツ語が通用すると書いてありしたが、ここ数年に訪れたチェコ・スロバキア・セルビア・クロアチアそして今回のスロヴェニアでも英語の方がドイツ語より役立ちそうでした。一方ロマンス語圏の中ではフランスはかなり英語が通用するのに、イタリアではほとんど通用しないという経験をしました。写真は先日スイスアルプスの中のロマンシュ語地域での英語と日本語表記。観光の為とはいえ何だか・・・
英語の単語の約7割はロマンス語起源だといわれます。古フランス語からの借用と直接ラテン語からの借用が大半ですが、文法構造は崩れながらもゲルマン語のそれを保っています。ルクセンブルグのレッツブギッシュもそれと似ていて、ゲルマン語の構造上にロマンス語の単語を多く乗せています。地中海マルタ島のマルタ語は、アラビア語の構造の上にロマンス語の語彙が乗っている不思議な言語です。
日本人は、まず外国語を英語から習うせいで、英語を標準に考えてしまいがちですが、実は英語はかなり特殊な言語かもしれません。英語においてはゲルマン語とロマンス語のどちらに近いかという設問は意味はあるのでしょうか?というか言葉というのは、地理的に音韻変化するとか、俗化するとかいう説明よりも、もっともっとダイナミックに色々な原因で様々に変化しているものではないかと考えさせられます。
そして今日、国境線・学校教育・インターネットの普及が大きく言語状況を変えていっているとということも思い知らされました。古い時代には、近くの村の言語や地域の御領主様の影響が大きかったのに、今では地球の裏側で起こっていることの方が、より社会や言語に影響を及ぼしているのではないか、そんなことを考えています。
英語が世界のコミュニケーションの手段としてますます重要になっていく一方で、古くからの土地の言葉が失われてくことは正しいのでしょうか・・・わかりません。 今日の宿泊地はカンヌ周辺です、本来はここはプロバンス語なのですが、聞こえてくるのはフランス語だけでした。
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