2014年9月6日土曜日

3枚の地図

ベジエールBéziersというフランス町に来ました。この地の本来の言語オクシタン語ではBesièrsと書くようです。町の中心を歩くと、アラブ系・アフリカ系の住人の多さに驚かされました。パリよりももっとずっと移民の町といった印象です。








さてこの地図ですが普通に見るヨーロッパの言語地図です。フランスは大体フランス語、ドイツは大体ドイツ語に塗られています。でも、よく見るとフレンチフレミッシュはオランダ語だし、アルザス・ロレーヌも南チロルもちゃんとドイツ語に塗られています。そしてイタリアの北西地域は違う色(たぶんフリウリ語)で塗られています。今回の旅で訪れた土地の言語事情をある程度は示しているのです。






 ところがこの図(オクシタン語の領域図)を見ると何か変です。フランスはフランス語のはずなのにオクシタン語がこんなに使われています。前にも書きましたがこの言葉は600万人の使用者がいることになっています。今日も滞在しているのBéziersの大型スーパーの書籍コーナーで探してみましたが、どんなオクシタン語の本も売っていませんでした。実は種を明かせば、私が持っているオクシタン語関係の本はすべてバルセロナとかカタルーニャ語地域で得たものなのです。つまりフランスでは、この言葉は無視されているのです。




 
そしてこの地図では、フランスで使われている言語を色分けして示しています。こんなに種類があるとは驚きですが、その一方でオイル語系(フランス語の仲間)とオクシタン語の区別は一応されているものの、言語間の距離感が出ていないという欠点もあります。バスク語やブレトン語とロマンス語系のカタルーニャ語やゲルマン語系のアルザス語等がまとめて何となく紫色系の異言語といった扱いになっています。つまり標準フランス語から一番遠い言語はバスク語でなければならないのに、バスク語はオクシタン語の親戚みたいに見えるし、プロバンス語というれっきとしたロマンス語が真っ赤にぬられて一番遠くに見えるのは変です。




このように言語地図というものは科学的のようでありながら、製作者の意図によってきわめて恣意的に作られていることが、この3つの地図からわかります。

今回の旅行ではありませんが、以前オクシタン語の地名を見つけたので写真を撮っておきました。赤に黄色い十字のマークも入った下の標識がオクシタン語です。でも調べて仰天しました、オクシタン語ではgodarguesと綴らなければければいけないそうで、じゃあこれは一体何語なの?

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